Belle II 国際共同実験の最初の物理結果が、Physical Review Letters誌に発表されました。 この成果は、宇宙の物質の85%を占めるとされる暗黒物質と通常の物質をつなぐ窓口となる新粒子の初めての探索結果として注目され、同誌の「Editors’ Suggestions」に選ばれました。
今回の成果は、SuperKEKB電子・陽電子衝突型加速器で行われている Belle II 実験において、「Z’ボゾン」と呼ばれる通常の物質と暗黒物質をつなぐ役割をする仮説上の新粒子を探索したものです。 この Belle II 実験初の物理結果として発表した論文では、KEKの電子・陽電子衝突型加速器「SuperKEKB」を使って2018年に取得した初期データの解析結果を報告しました。 現時点ではZ’ボゾンの信号は得られませんでしたが、その性質に重要な制限をつけることに成功しています。
最近の宇宙観測によると、宇宙に存在する物質のうち、我々が知っているのはわずか15%にすぎず、残りの85%は未だ検出されたことのない謎の粒子「暗黒物質」だとされています。 Belle II 実験のみならず、世界中の素粒子物理研究者がこの問題に焦点をあてて取り組んでいます。
Z’ボゾンは、現在の素粒子理論(標準理論)には組み込まれていない仮説上の粒子ですが、暗黒物質と我々の世界を構成している通常物質をつなぐ可能性が高い粒子として理論的に注目されています。 このZ’ボゾンは、SuperKEKB 加速器による電子と陽電子の衝突で生成され、検出器では測定できない暗黒物質粒子に崩壊する可能性があります(図1)。 もしも、Z’ボゾンの存在が確かめられると、素粒子物理学上の未解決問題-暗黒物質の問題だけでなく、これまでの実験で得られている標準理論との食い違い-を解くことが期待できます。
詳しくは、@KEK.JPのウェブリリースをご覧ください。https://www.kek.jp/ja/newsroom/2020/04/07/0000/ #Belle2 また、米国物理学会が運営する一般向けの科学雑誌Physicsにも記事が掲載されました。https://physics.aps.org/articles/v13/s43 (英語)